エイティーサード

83番目の棚に、酒と言葉を並べる。

横浜の静かな片隅に佇む、たった10席だけの小さなバー。

煮湯のあとに訪れた、温かな夜の余韻

昼間の別の業務で理不尽な思いを抱え、胸の奥が少し波立ったまま店を開けました。心のどこかで、今夜はうまく笑顔でいられるだろうかと心配していたのです。けれど、カウンターにいつも来てくださる素敵な常連のお客様が顔を出してくださり、その不安は自然とほぐれていきました。

いつもいろいろな話を持ち込んで、楽しい時間を作ってくださる方です。その穏やかなやり取りに救われながらグラスを拭いているうちに、いつの間にか店内の空気は柔らかく満たされていきました。心がざわついていた一日だったからこそ、その優しさがより深く染み入るのを感じます。

少し早めに店を閉めて、そのあとお客様と一緒に他のお店へと足を運びました。カウンターの向こうとこちらという関係を越えて、それぞれの場所で出会った人たちが自然につながっていくのを見るのは、酒飲みにとって格別な醍醐味なのだと思います。

グラスを傾けながら言葉を交わすうちに、昼間のトゲトゲしかった感情もすっかり溶けていきました。荒れていた気持ちが静まり、代わりに温かな余韻だけが胸に残る、そんな満たされた夜でした。