whisper

今日のひとこと(2025年8月8日)

2025.8.8 Fri.

昼間の太陽は、まるで真上から押しつぶすような力で街を照らしていた。
歩道のアスファルトが陽炎のように揺らめき、立ち止まるだけで背中に汗が滲む。
そんな日でも、扉を開ければ当店はいつものようにひんやりとした空気で満ちている。
冷蔵庫で冷やしたおしぼりの感触が、指先から首筋へと涼を運び、少しずつ体の熱を溶かしてくれる。

外の喧騒から切り離されたこの空間では、時間がゆっくりと流れる。
カウンターの向こうで氷を割る音、グラスに注がれる琥珀色の液体のきらめき――
そうした音や光が、心を落ち着けてくれる。

今夜は、いつもより街が静かだ。
ふと「もうお盆休みに入ったのだろうか」と思う。
みなとみらいのビルから来るいつものお客様は少なかった。また観光客らしき姿も少なく、足音の数もまばら。
そんな中でも、常連のお客様がふらりと立ち寄ってくれるのはありがたいことだ。

グラス越しに交わす何気ない会話の中で、夏の暑さや休暇の話題がぽつりぽつりと落ちる。
外は真夏の夜、けれど店内は変わらず涼やかで穏やか。
こうして、今日も一日が静かに閉じていく。