帰る前のひと休みの場所として。それぞれの「バーの使い方」
日が暮れても残る蒸し暑さと、少し低めのエアコン
今日は日が暮れても、なお蒸し暑さが残っていました。まるで太陽が地面に残した熱が、夜になってもまだ街を包み込んでいるような、そんな夜です。
このところの暑さは少し異常だと思います。おそらく、それを感じているのは私だけではないはずです。だからこそ、当店では冷蔵庫でしっかりと冷やしたおしぼりを用意しています。手にした瞬間、ひんやりとした冷気が指先から体に沁みて、ほんのわずかでも現実の暑さを忘れさせてくれます。店内のエアコンも、他の店に比べれば少し低めの設定。外から入ってきたとき、ほんのり「涼しさ」に驚いてもらえるくらいがちょうどいいのです。
話すことではなく、支えること
21時を回った頃だったでしょうか。扉が開き、久しぶりのメンバーさんが会社の同僚らしき方とともに来店されました。グループの会話は仕事の話で持ちきりです。私はカウンターの内側で静かにグラスを磨き、必要に応じて酒をつくります。
こういうとき、私の役目は「話すこと」ではなく「支えること」だと思っています。まるで影のように、必要なときだけ現れる存在として、静かに夜の流れを見守るのです。
帰る前のひと休みの場所として
やがて日付が変わる少し前、店の外のネオンがまばらに消え始めたころ、ひとりの常連のお客様がふらりと現れました。少し酔った様子で、手にはスマートフォン。「迎えの車、ここで待たせてください」そう言って、彼はいつもの席に腰を下ろします。
このお客様にとって、当店は「帰る前のひと休みの場所」。きっと、そういう使い方も悪くないと思います。バーとは、ただ酒を飲む場所ではありません。思いを整えたり、静かに待ったり、ひとりでいられる時間を確保する場所でもあるのだと思うのです。
barでありながら「居場所」でもある空間
今日は少しパタパタと動いた一日でした。でも、心地よい疲れがあります。メンバーさんごとに異なる「当店の使い方」。そのひとつひとつに、店の意味がある気がします。そう、ここは「bar」でありながら「居場所」でもあるのだと、改めて感じた夜でした。