三連休初日の土曜日。
街全体が休暇の空気をまとい、みなとみらいの海風もどこかのんびりと流れているように感じられた。
外の陽射しはまだ夏の勢いを失ってはいないが、その下で行き交う人々の足取りは少し軽やかで、休暇らしい笑顔があちらこちらに見え隠れしていた。
店の中では、時間がいつもよりもゆっくりと進んでいるように感じられる。
カウンターの向こうから見える景色は、いつものように変わらない――琥珀色のウイスキーがグラスの中で揺れ、氷の解ける音が静かに響く。
そんな中、いつもの常連さんが扉を開けてくれた。
長く付き合ってきたお客様が来てくれる日は、不思議と「営業」という感覚が薄れていく。
まるで自分の部屋に、友人がふらりと遊びに来たような感覚。
会話のテンポも、グラスを傾ける動作も、互いに急ぐ必要はなく、ただ心地よい時間がそこに流れていた。
その後も、ちらほらと別のお客様が立ち寄ってくれる。
初めての方もいれば、久しぶりに顔を見せてくれた方もいる。
三連休の初日、特別に賑やかではないけれど、確かに温かい一日だった。
今夜もまた、扉を閉める時間まで、この場所は静かに灯り続ける。
そして、このゆったりとした空気が、きっと明日へと繋がっていくのだろう。
