whisper

今日のひとこと(2025年8月12日)

2025.8.12 Tue.

お盆休みの空気が、街全体をゆっくりと包み込んでいる。
夕暮れ時の馬車道は、観光客らしき人たちで賑わっていた。カメラを構える姿、有名なカツレツのお店に並ぶ家族、海風に髪を遊ばせるカップル。そんな光景を眺めながら、店へ向かう足取りも少し軽くなる。

ところが、夜になると景色は一変した。ネオンは灯っているのに、人影はまばら。まるでゴーストタウンのように、馬車道の通りは静まり返る。昔から「夜の街」と呼ばれ、遅い時間ほど人が増えていったこの場所も、今はその喧騒をどこかに置き忘れてしまったかのようだ。

カウンターの中で、冷えたグラスを磨きながら耳を澄ますと、外からの風の音だけが届く。こんな夜は、時間の流れもゆっくりになる。やってくるお客様が少なくても、この静けさは決して嫌いではない。むしろ、こういう夜にしか交わせない会話もあるのだから。