気がつけば、公式LINEが「営業時間外」のままだった。
ホームページの混雑メーターも、静かに「CLOSE」を灯している。
どちらも、自分で作ったものなのに。設定を忘れていたなんて、ちょっと情けない。
そんなとき、会員さんからメッセージが届いた。
「今日、やってないの?」
——やってるんだよ、ただ、ひましてるだけなんだ。
しばらくして、彼が店の扉を開けてくれた。
何も告知していない日にも、ふらりと立ち寄ってくれる人がいる。そのことが、どれほど嬉しいことか。
しかも今夜はもうひとつ。
うちで“一番人気”で、一番若い女性のメンバーさんも、久しぶりに顔を見せてくれた。
「元気だった?」
そう尋ねたつもりが、笑顔を見た瞬間、ただただ嬉しくて、言葉が曖昧になった。
常連さんが集う夜は、マスターの仕事が少し楽になる。
会話のリズムも、空気の温度も、全部がちょうどいい。
こういう夜が、もう少し増えたらなあ。
きっと、フードメニューだって、もっとちゃんと出せるのに。