エイティーサード

83番目の棚に、酒と言葉を並べる。

横浜の静かな片隅に佇む、たった10席だけの小さなバー。

数珠繋ぎになる話題と、グラス越しの旅の記憶

今夜はオープン直後の17時半にご来店いただいた常連様から始まり、ご予約をいただいていた仲良しカップル、お久しぶりにお顔を見せてくださったお客様、そして出戻りの常連様グループまで。10席の小さな空間が、終始心地よい賑わいに包まれた夜でした。

こんな夜は、心地よい疲れよりも先に、ただただ嬉しいという喜びがこみ上げてきます。

さて、ご来店いただいたお客様ご自身はなかなか気がつかないかもしれませんが、バーのカウンターでは、別々のお席の話題が不思議と「リンク」することが稀にあります。

今夜の偶然のテーマは、「外国」や「留学」、そして「エジプト」でした。

私自身も学生時代の約5年間をアメリカで過ごし、そこでバーボンというお酒に魅了された経験がありますが、当店には外国のお客様だけでなく、海外での生活経験をお持ちの方もたくさんいらっしゃいます。

今夜は、お酒にゆかりのあるヨーロッパの国に2年ほど留学されていたお客様や、ご家族の都合でアメリカと日本を行き来されているお客様がいらっしゃいました。

さらに別の会話では、「旅行でエジプトに行きたい」と話すお客様と、「エジプトにはよく旅行に行くんです」と語る別のお客様が。

席の異なるお客様同士の話題が、まるで目に見えない糸で結ばれているかのように、数珠繋ぎに盛り上がっていく。この静かな物語の連鎖を最初から最後まで知っているのは、カウンターの奥でグラスを磨くマスターだけの密かな特権かもしれません。

「グラスの向こうには、その人の旅や記憶がある」。 そう記した通り、今夜もまた、グラス越しにさまざまな国の風景が広がった素敵な夜でした。

今夜も、良い余韻をありがとうございました。