今夜の余韻(2026年6月9日)ドッペルゲンガーと、グラス越しの記憶
長くカウンターに立っていると、いつかこんな夜が来るのだろうと、心のどこかで思っていたのかもしれません。
今夜の「83rd」にも、心地よい時間が流れていました。
まだメンバー様ではないものの、時折ふらりと足を運んでくださるお客様が、今夜はご友人を連れてご来店くださいました。わずか10席しかない小さな空間です。初対面のはずのご友人と、カウンターにいらした常連様が自然と言葉を交わし、あっという間に意気投合して笑い合う。そんな偶然の出会いから温かい繋がりが生まれるのも、この小さなバーならではの景色です。
ただ、今夜の私を少しだけ驚かせたのは、お連れいただいたそのご友人のお顔立ちでした。「えっ、ドッペルゲンガーか?」と一瞬目を疑うほど、私の昔の知り合いに瓜二つだったのです。
もちろん、言葉を少し交わせば他人の空似であることはすぐに分かりました。それでも、カウンター越しにそのお顔を拝見していると、なんだか不思議な感覚になり、いい意味で少しだけ調子を狂わされてしまいました。
グラスを磨きながら、数十年前の記憶がふと静かに蘇る。
お客様の楽しそうな話し声と、グラスの中で氷が溶ける微かな音をBGMに、私自身もこっそりと昔の思い出を振り返る。そんな贅沢な時間をいただきました。(もちろん、手は止めずに最高のお酒をお作りしましたよ)
グラスの向こうには、飲む人の記憶だけでなく、お酒を作る側の記憶もまた、不意に重なることがあるようです。 明日もまた、このカウンターの奥で、皆様と静かな夜の余韻をご一緒できることを楽しみにしています。